「十日町市地域おこし実行委員会」設立趣旨

※2017年4月に「特定非営利活動法人地域おこし」に名称変更しました

1)趣旨

 日本は戦後の高度経済成長によって、人々の生活はより便利になったと言えると思います。しかしながら、同時に多くの矛盾をはらむような社会にもなっております。このままの延長線上で進むと、地球上で人類が永続的に存続し続ける事は困難です。また、経済効率重視のグローバル資本主義が世界中に広がるなかで、自然環境の破壊は深刻な状況になり、また貧富の差の拡大などによって人々が安心して暮らせる環境も破壊されております。

 人類が持続可能に存続し、安心した日々を過ごすためには、顔の見えるローカルな範囲で食料やエネルギー等生活に必要なものが自給できるような地域が世の中に数多く存在する事が重要です。そのためには石油など化石燃料に代わる代替エネルギー資源が豊富な地方において、まずはその地域内で生活に必要なエネルギーや食糧の自給を実現し、都会からの移住希望者が少ない所得でも地方に住む事が出来るような仕組みを構築する事が必要であると考えています。同時に、地方と都市は両方バランスよく存在する事が必要だと思いますので、都市部にも地方で生産された生活に必要なエネルギーや食糧を供給できる仕組みを作っていく事も当然必要だと考えております。

 折しも2011年3月11日の東日本大震災によって、一時東京のスーパーからお米が無くなる等、いざという時に食糧を自給できる状況を作っておかなければ危ういという事を感じた人は多いのではないでしょうか。今後は世界の人口が増えていきます。2050年には90億人を超える事が推計されており、現在でさえ穀物価格が上昇していますので、今後は間違いなく食糧の供給が難しくなっていく世の中になる事が予想されます。また、福島原発の件によって日本全体がエネルギーの問題について無関心ではなくなってきているかと思います。

 今後は、日本国内で生活に必要なエネルギーや食糧を自給できる体制を構築し、分かち合う事が出来ている国家を目指し、これまでの資本主義を超えた仕組みを日本から世界に発信していく事で、世界中を競争原理で成り立つ社会ではなく、限りある地球の資源を分かち合える世の中にしていきたいと考えております。日本は世界で唯一核兵器の被害に遭い、憲法9条で平和を謳ってきたという歴史があります。日本が国際的に存在価値をもつのは豊かな自給が出来るようになり、それを世界に発信する事で世界中から奪い合いや争いをなくさせるという事を長期の国家的ビジョンとして掲げてそれに向かって取り組んでいく事であると考えております。その第一歩として十日町市地域おこし実行委員会は池谷・入山集落でモデルになるような地域を作るとともに、全国に情報を発信する取り組みを通じて社会に貢献したいと考えております。

 具体的には以下の3点を念頭に活動を進めたいと考えております。
 ①池谷・入山地区の集落と農業の継続を実現しつつ、全国の過疎の集落が抱えている集落存続問題の成功例を示す。
 ②持続可能な新しい村づくりを実践し、循環型の社会モデルを目指し100年持続させる展望を示す。
 ③地元住民だけでなく地域外の関係者も含めて、新しい村づくりを進める。

2)申請に至るまでの経過

 新潟県十日町市の中山間地に位置する池谷・入山集落では高度経済成長の流れによって全国各地の農村同様、過疎化がどんどん進展してきました。昭和30年代には池谷集落37世帯、入山集落15世帯が住んでいましたが、平成元年には入山集落は廃村、池谷集落も2004年の中越地震直前には9世帯にまで人口が減っていました。2004年10月23日の中越地震をきっかけに3世帯が集落を離れ、6世帯にまで減ってしまいました。残った集落の人達も「もう村をたたむしかない」とあきらめかけていましたが、中越地震以降、様々な団体や企業、個人からの支援を受け、6年間でのべ2000名を超えるボランティアが集落を訪れるようになりました。

 そのような中、地元住民主体で立ち上げた任意団体「十日町市地域おこし実行委員会」がボランティアの受け入れ団体として震災復興の活動を行うようになりました。
 震災復興が落ち着いてくると、その後は「集落の存続」を目標として、下記4つをテーマに地域おこしの活動を行って来ました。

 ・中山間地での営農生計の確立(米の直販・エコツーリズム・その他)
 ・後継者の育成・受入れ環境整備
 ・耕地・山林の維持・整備(中山間地機能維持)
 ・日本全体の問題(限界集落・食糧・環境)への挑戦

 こうした活動を続ける中で、米の直販は順調に販売量を伸ばし、エコツーリズムでの交流人口も順調に増え、2010年に3名の家族が移住、2011年には2名の女性が移住してくるなど、後継者候補が増えてまいりました。

 今後後継者候補が池谷集落の方々の農地をスムーズに受け継ぎ、収入を得て長く住み続ける事ができるような仕組みを構築し、池谷集落の方々の老後の安心をサポートするための仕組みを構築して「集落の存続」を実現し、全国の過疎地のモデルになるような地域を作るために、「十日町市地域おこし実行委員会」をNPO法人として体制を整える事にし、2011年12月10日に設立総会を行いました。
  2011年12月10日

特定非営利活動法人十日町市地域おこし実行委員会
 設立代表者 住所又は居所 新潟県十日町市中条丙1022-3
     氏    名 山本 浩史