第3章 後継者現る!
集落の5年後を考える
2010年3月6日~7日にかけて、池谷・入山集落の村人と都会からのボランティアの方など、有志約30名で集落の「5年後を考える会」が開かれました。中越大震災から5年が経過したので、「池谷・入山復興デザイン計画」を見直し、さらに関係者の意識を共通化していく事を目的にこの会は開催されました。
当日の進行は地域おこし協力隊としてきたばかりの多田さんが行いました。多田さんは池谷集落に来る前はコンサルティング会社に勤めており、ワークショップなども仕事として取り組んでいましたので、その経験をうまく活かしてこの会を進行しました。
主旨の説明が終わると、3つのグループに分かれて、「将来どんな集落になっていたいか?」について思いついたことを付箋に書き、好きなだけ出し合いました。
「若い人たちに移住してもらいたい」
「たくさんの人から憧れられる場所に」
「池谷が、他の村に真似されるようなモデルに」
などなど、村の人からもボランティアからも、積極的に意見が飛び交いました。
村人からは「村を継いでくれる若者に住んでほしい」と、強い希望が出ました。
各チームで発表があった後、チームをシャッフルして再度話し合いました。今度は、先程話し合った「将来の池谷」に向けて、「5年後の池谷」がどうなっていたいか、みんなでアイディアを出し合いました。あれもしたい、これもやりたい、とアイディアは尽きない様子で話し合いは盛り上がりました。
一通りアイディアを出し合った後、最初のチームに戻って、どんなアイディアが出たかおさらいします。どのチームからも、
「加工品を売り出す」
「子どもに来てもらう」
「堆肥センターをつくる」
「村をNPO法人にする」
などなど、前向きな意見が出てきていました。
やりたいと思う事をできるだけ出して話を膨らませた状態で1日目は終了し、交流会に突入しました。
この日の交流会はいつもに増して盛り上がり、だんだん一芸披露の会のようになってきました。
定番の十日町小唄に、籾山さんによる横笛や東京農農大仕込みの大根踊り、多田さんによる応援団仕込みのエールなど新しく集落に来た若者も芸達者で和やかに会は進みました。
翌日、2日目にはこれまで膨らませたアイディアを、まとめる作業を行いました。5年後の集落の様子を模造紙に地図にして描きました。
「ムラの人が一緒に住める、共同住宅を」
「若い人が住めるように、古民家を移築」
「加工所をつくって、お米以外の収入源も」
「子どもが遊べるような場所を作ろう」
等々、具体的に絵に描くことでイメージがさらに湧いてきました。
そして、この絵はずっと集会場に掲示しており、集会場に集まる度に目に入るようにしました。
山本さんは会の最後の挨拶で、「5年前に地震が来た時は、5年後こんな風になっているだなんて全然考えられなかった」と話しました。
「5年後を考える会」で、改めて今後の方針が決まり、集落がより一致団結して集落存続に向けて取り組んでいくことになりました。
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