第3章 後継者現る!

 

盆踊りの復活

 

 籾山さんは横笛や太鼓といった和楽器をたしなんでおり、よく夜に外で笛の練習をしていました。ある日、集落の鎮守様にある太鼓を見つけ村人から、「この太鼓は30年もここで眠っているんだ」という話を聞きました。籾山さんが、「今年は是非この太鼓を世に出そう」と発案し、「それなら盆踊りを30年ぶりに復活させよう」と村の中でまとまりました。

 開催日は2009年8月15日。この話が決まると、早速人集めが行われました。集落出身者や、ボランティアで通って来てくださっている方など広く声がけが行われました。十日町市地域おこし実行委員会のブログでも何回にもわたって告知を行いました。

 30年ぶりの盆踊り開催に皆盛り上がり、事前の準備や練習にも余念がありませんでした。中には大勢の人たちが来るのを楽しみに、毎晩浴衣を縫う村人もいました。集会場で1週間前から練習を行うという気合の入りようでした。盆踊り唄の文句(歌詞)は庭野昇一さん(屋号:坂之上)がコピーを大事にとっておいてくれたおかげで、何とか生唄でできることになりました。何せ30年ぶりなので最初はなかなか調子がつかめなかった村人も練習を重ねる中で、音頭取りも太鼓たたきも踊り手もだんだん昔の調子が戻ってきました。テープではなく、生唄でやるのでみっちり練習して丁度よかったのかもしれません。

 盆踊り前日は午後から村人たちと村人の親類、ボランティアの方々でやぐら組立てなどの会場設営が行われました。夜は踊り・太鼓練習、リハーサル、打ち合わせ、当日は朝から会場設営の続きが行われました。当日の午後もまた踊りの練習があり、これでもかというぐらい練習がみっちりと行われました。そしていよいよ本番が始まりました。

 盆踊りに先立って、祝い唄「天神囃子」を皆で唄いました。村人、村人の親類、集落出身者、近隣集落の方、そしてボランティアの方々と皆が一つになった、身の震えるような天神囃子になりました。

 十日町市地域おこし実行委員会代表の山本さんの挨拶ののち、30年ぶりの盆踊り唄「よいやーさ」を踊りました。太鼓のリズムも音頭取りも30年ぶりの本番とあって踊り始めはなかなか調子が合いませんでしたが、少しずつ調子が合ってきて、中盤になって皆揃って無事「よいやーさ」も復活することができました。

 

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 間に休憩をはさみ、集落からささやかな飲み物、食べ物が振る舞われました。イワナの塩焼きやフランクフルト、もつ焼き、枝豆、トウモロコシ、じゃがいもなど、素朴なおもてなしでした。横笛の演奏や池谷花火大会も急きょ行われ、場を大いに盛り上げてくれました。合間に「十日町小唄」を踊り、「よいやーさ」を再開し、踊り手も音頭取りもクタクタになるまで踊り続けました。最後にその年の池谷集落長の曽根藤一郎さんの挨拶で締めをしたのち、踊り足りない有志がいつまでも踊り続け、仲間内で座り込んで語らうなど、お祭りの雰囲気がいつまでも漂っていました。

 約200人が集まり、盛大に大成功のうちに無事終了しました。

 盆踊りはその後、集落の村人も高齢になってきたため、毎年やるのは大変だという事で何年かに1回と無理のない形で継続しています。

 

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