第4章 集落の灯を絶やさない

 

稲作を受け継ぐ

 

 2014年春から、実行委員会が組織として池谷集落内の田んぼを約1町歩借り、耕作することになりました。その田んぼは、前年近隣集落の農家が管理していましたが、現実問題として自分の集落の田んぼ以外に他の集落まで棚田の管理に来るのは難しく、手が回っていない様子でした。そこで実行委員会が相談を持ちかけたところ、「池谷集落の人で管理してもらえるなら助かります」と返事をいただき、実行委員会に作業委託する事になりました。

 田んぼの耕作にあたっては、農業機械を持つ必要があります。機械は、2014年2月に亡くなった庭野光郎さんのものを中古で購入させていただきました。光郎さんは、池谷集落出身で市内から通って稲作をしていました。また、盆踊りの際には音頭取りをしてくださったり、池谷分校大同窓会(次ページ参照)では当初実行委員長をかって出たりなど、集落を離れたとはいえ、集落の一員としての思いを強く持っていた方でした。

 光郎さんが耕作していた田んぼは引き継ぐ人がいなかったため、実行委員会として耕作させてもらえないかご家族に相談しましたが、田んぼは農業法人に任せることになりました。

 田んぼの耕作は引継ぐことができませんでしたが、農業機械を中古で購入し、農作業小屋を貸していただくことになり、組織として耕作できる環境を整えることができました。

 春の作付けに向けて、3月には長岡の田んぼ名人の佐藤氏を招いて稲作勉強会を行いました。勉強会の内容を踏まえて肥料設計と年間の作業日程を組みました。耕作が始まると、実行委員会の山本さん、多田さん、当時のインターン生たちなど、若いメンバーが中心となって耕作しました。秋になると、村人も評価する程の稲に育ちました。

 2014年11月には正式に農業参入の手続きが完了し、晴れて十日町市地域おこし実行委員会は集落ぐるみでの営農組織になりました。

 

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実行委員会の田んぼの稲刈り

 

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