行政職員がブレイクスルーするために(3/5)2018.02.25

これまで2回にわたって行政職員の方の考え方には以下の5つの傾向があると書きました。
(1回目記事はこちら 2回目記事はこちら

【行政職員の方の考え方の傾向】
①人に聞くよりも、つい自分の頭で考えようとしてしまう
②決まった枠組みから外れようとしない
③『ちょっと違う』とうすうす気づいているのに、過去の経緯等にこだわってそのまま進めようとしてしまう
④予算があるとその金額ありきで逆算して使い切る事を考える
⑤チャレンジよりも失敗を避ける方を選びがち

今回は「③『ちょっと違う』とうすうす気づいているのに、過去の経緯等にこだわってそのまま進めようとしてしまう」について書いてみたいと思います。

 

③『ちょっと違う』とうすうす気づいているのに、過去の経緯等にこだわってそのまま進めようとしてしまう

実は、行政職員の方と仕事をしていると、行政として形を決めてから仕事の委託を受ける事があります。
そして、私から見るともっと別の方法を取った方が効果的であるという風に感じる事が往々にしてあります。
そういう時に、担当者の方にお伝えすると

「確かにおっしゃる通りなんですが、もうこういう風に決めてますんで、この進め方でお願いします。」

という趣旨の事を言われた事が何度かあります。

私としては、何故担当者も別のやり方をした方がいいとわかっているのにすぐに方針を変えないのだろうか?と疑問に思うのですが、意外とこういう事があります。

先日のOMOの時もそれを象徴するような事がありました。

あるチームの最終プレゼンの練習をコーチとして聞いたのですが、どうもプレゼンのストーリーでしっくりと来ない部分がありました。
それは地域の課題を解決する方法の一つとして婚活の取組みをするというものが含まれていたのですが、この部分だけがあまりしっくりくるつながりが見えなかったのです。

私はそう感じたので、婚活の部分がいまいちつながってませんね。とお伝えしたところ、

そのチームのメンバーは全員「私たちもそう思っていたんです。」と答えました。

「でも、これまで婚活というのがありきで話をしていたので、いまさら婚活を省くのもどうかと思いまして・・・」

というお話も頂きました。
実はみんな薄々「違うな」と思いつつも、話の流れでそのまま婚活を省く事が出来ずにいたのです。

結局、最終的には婚活の部分を省き、プレゼンの内容がぐっと引き締まりました。

結果、そのチームは優勝しました。
恐らく婚活にこだわっていたらどうなっていたのかはわかりません。

 

こういう事は、行政に限らず、大勢の人が集まって話し合った時に起こりがちな事だと思います。
過去の流れの延長線上で議論していると、誰も大前提を疑わないで「なんかちょっと違うな」と感じている事に対して誰も疑問を呈さずに話をしてしまうという事は読者の方でもそういう場面に遭遇したことがある人も多いのではないでしょうか?
私も経験があります。

そこで、ブレイクスルーするために必要な事は、「なんかちょっと違うな・・・」と感じた時には、そもそも論に立ち返り、本当に必要な事は何なのか?という事を確認し合うという事です。

上手くいった例として、私が新潟県の地域政策課の方から「地域おこし協力隊ネットワーク会議」の委託を受けた時の事がありますのでご紹介いたします。

地域政策課の方から当初頂いた進め方のリクエストに対して、私の方からもっといい進め方がありますよという事で提案をさせて頂いたのです。
その時は担当のTさんがとてもこちらの意図を汲み取ってくれる方でしたので、Tさんご自身は「私は当初の進め方よりも、多田さんからの提案内容がとても良いと思っているのでそのように進められるようにしたいとおもうのですが、なかなか上に理解してもらうのが難しいんです・・・」という風におっしゃっていました。

私が提案した内容は「ここがヘンだよ行政職員」「ここがヘンだよ協力隊員」というのをやりましょうというものでしたので、行政としては炎上しないだろうかという風に躊躇したのでしょうが、私はお互いに本音を出した上で建設的な話をする事が最も効果的だと考えており、いくつかの現場で本音を出させ合った上で上手くまとめ上げた経験があるので、大丈夫だと感じていましたし、嫌なところに蓋をしてうわべだけで交流しても根本的な解決にはならないと思っているので、こういう提案をしたのです。

上司に話を通すために、事前アンケートを地域おこし協力隊と行政担当者に取る事も提案しました。
そして、事前アンケートを取ったところ、「本音の話がききたい」という意見がとても多く、こういうのもあってTさんは上司の承認を得る事が出来たのだと私は想像しているのですが、何とか、私の提案通りの進め方ができる事になりました。

結果的に、地域おこし協力隊ネットワーク会議では炎上する事もなく、アンケートの満足度も高かったです。
ある自治体の行政の方からは後日「地域おこし協力隊に関する事でご相談をさせて下さい。」というお話も頂きました。

 

行政職員がブレイクスルーするために、『ちょっと違う』とうすうす気づいた時には勇気をもって考え直し、それまでの話の経緯にとらわれず、そもそも論に立ち返ってもっといい案をゼロベースで考えてみると良いと思います。

 

本記事をご覧になってどのようにお感じになられましたでしょうか?

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    次回は「④予算があるとその金額ありきで逆算して使い切る事を考える」について書いてみたいと思います。

     

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