地方創生検証委員会に出席2016.05.02

少し前の話になりますが、2016年3月4日に自由民主党地方創生実行統合本部地方創生検証委員会に出席しました。

写真① 写真②

 

開場は自由民主党本部です。

写真③

警備が厳重でした。

写真④

徳島大学の田口先生から推薦頂き、参加することになりました。

 

今回の会議のテーマは「地域おこし協力隊」でした。そして、私が話をしたテーマは「『地域おこし協力隊』の現状と今後の課題(仮)について」でした。

写真⑤

この委員会は全4回で1回目は明治大学の小田切徳美先生、2回目はジャーナリストの大江氏、3回目は田口先生と私、4回目は島根県中山間地域研究センターの藤山浩先生が呼ばれて話し合うというものでした。

 

元地域おこし協力隊として現場の活動事例の報告と現場からの提案をさせていただきました。15分と短い時間でしたがコンパクトにまとめ、ほぼ時間ピッタリで話をさせて頂きました。

 

地方創生実行統合本部長は鳩山邦夫氏で以前総務大臣をしておられた時にこの地域おこし協力隊の制度ができました。

委員長は兵庫県の谷公一議員でした。

 

何と!十日町市の高鳥修一内閣府副大臣もいらっしゃってました!

 

現場からの話をとても真剣に聞いていただき、また、質問内容も本気で考えている方々だから出てくるような質問でとても有意義な会であったと思います。

揚げ足取りとかは全くなく、

「地域おこし協力隊の制度をどのようにうまく活用して地方創生を進めていくか?」

という視点での議論になっており、報道等で見る国会の本会議よりも内容が濃いのではないか?とも感じました。

 

地域の現場から日本の在り方を変えていく事にこういう機会を活かして貢献できればと思います。

 

前の日の3月3日は集落の重鎮と本音の意見交換をし、今日は国会議員の重鎮と本音の意見交換ができるのも面白い事だと思います。

 

今回は現場での取り組みの話と合わせて以下の内容を提案させていただきました。

 

【地方創生の課題】

 ①国が作った制度や事業を自治体や地域が上手く使いこなせない

  -予算があるから無理やりそれに当てはめて計画書を書く

  -計画書類作成や会議に時間がかかり現場を見れない

  -行政が地域を置き去りにして空回り

  -地域まで国の考えが下りてきていない

  -地域には国の制度を使うための事務ができる人材が少ない

 ②地方同士の競争になっている

  -特産品、ゆるキャラのPR合戦

  -移住者、地域おこし協力隊など外部人材の争奪戦

 ③都会の大手企業やコンサルにお金が落ちて地方の役に立たないケースがある

  -地方の状況とかみ合わない進め方をされ、効果が出ない

  -地方が下請けのような状態になる

 

①    について、この部分を根本的に何とかしないといくら税金を投入しても無駄になってしまいます。国や地方自治体と地域に住む人達との間をしっかりとつなぎ、地域の人達自らが主体的に「国や地方自治体の制度を活用したい」という風になるようにしていく事が地方創生の根幹であると思います。

地域の現場には熱い想いを持って自分の住む地域を何とか良くしていきたいと考え、行動している人がいます。こうした人が地方創生の流れで出てきた制度や補助金を上手く活用できるようにしていく事が大切です。

地方創生と言いながら税金の無駄遣いだと嘆くのではなく、税金を効果的に使う事ができる地域のプレイヤーを増やすような取り組みが求められると思います。

 

②    について、地方同士が似たような事をやって都市部のお金や人材を引き込もうとして競争する事は地方同士で食い合う事になっていき、結果的には大量生産大量消費の経済の世界を地方にまで広げてしまい、地方の良さをつぶしてしまう事にならないか懸念します。私は個人的にはそういう方向性ではなく、各地域がある程度顔の見える範囲の中で生活が成り立つような仕組みを目指しつつ、そこそこの外貨を得たり、移住者を少し呼び込むという事が長期的に目指すことであると考えます。最終的には移住者を奪い合わなくても地域に住む人達の子供が一定数生まれる事で地域が長く続いていくような状態を目指すべきだと思います。

 

③    について、大手の旅行会社が組む田舎体験ツアーで地域の側の取り分が非常に少なくたたかれるケースが出てきています。具体的な話だと自前でやれば2000円のスノーシュー体験をある大手旅行代理店から500円でやってもらえないかと言われたという話も聞きました。地方創生と言いながら、地方を舞台にビジネスをする都市部の大企業にお金が結果的に流れてしまうようでは全く本来の目的を果たせていないと感じます。

 

【地域おこし協力隊の課題】

 ・地域おこし協力隊員、行政、受入地域住民とのミスマッチ

 ・行政の臨時職員的な受け入れ方をされ、隊員がやりがいを感じなくなる

   ・・・等

 

上記のような事が起こるのは、本質的には地域おこし協力隊のあるべき活用イメージを持てていない事が原因です。

 

これらの課題に対して私なりに提案を出させていただきました。

 

【地域おこし協力隊制度への提案】

 ・地域住民向けに地域おこし協力隊と上手く協働するイメージを持ってもらうための人材育成をする

 (手法の案)

  -地域おこし協力隊受入れ地区世話人情報交換会

 -地域おこし協力隊全国サミットを毎年行うのであればあ地方の先進地で行う((メインターゲットは地域おこし協力隊員を受け入れている地域の人向けとする)

 

これまで公式に行われてきた研修は地域おこし協力隊や行政向けのものだけだったのですが、 本当は地域の人に対して直接働きかけるのが最も効果的です。ただ、なぜかこれまでは全くと言っていいほど地域の人に対して直接働きかけるという事は全国研修レベルでは行われてきませんでした。

 

地方創生に対しても提案をさせていただきました。

 

【地方創生への提案】

 ・地域コーディネーターを一つの仕事として位置づけ、育成する

 (国が作った事業や制度を現場で効果的に活用させるための運用支援をする人材)

 

これまで地域おこしは地域のやる気のある人がボランティアで本業の片手間で行ってきたのがほとんどです。なので、いわゆる地域のリーダーと呼ばれる方々は多くが定年退職後の年代の方です。そして、地域には50代以下の人達もいるのですが、皆さん日々の生計を得るための仕事が忙しく、なかなか地域のための取り組みに時間を使う事が出来ません。できたとしてもお祭りやイベントを単発でやるのを手伝えるぐらいで、根本的に地域の課題を解決したり、地域に仕事を創りだすなどという取り組みにまでは手が出ません。

地域おこし協力隊は自分の時間を100%投入できます。このように根本的に地域の課題を解決したり、地域に仕事を創りだすような取り組みに時間を使える人材が地域に増える事で、地方創生の現場レベルの取り組みをスピードアップさせる事は可能だと思います。

地域の人達の主体性を引き出し、自分たちの力で自分たちの地域を作っていくという環境を提供することが本質だと思います。(自分たちの考えを持った上で都会の企業やコンサルに一部役割を担ってもらう事は問題ありませんが、都会の企業やコンサルに地方を利用していいところを持って行かれるという事は地方創生にはなりません。)

地方創生を本当の意味で上手くいかせるためには制度を作ったり予算を出すだけではダメで、制度や予算を活用できる地域の人材を育成していく事が必要不可欠であり、そういう地域コーディネーターを一つの仕事として確立していく事が大切であると思います。


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