本が出版されます!2018.11.08

この度、11月中旬に農文協から書籍を出版いたします。

タイトルは『奇跡の集落~廃村寸前「限界集落」からの再生』です。

 

本書は「社会や環境がよくなって、そしておもしろい」をテーマとした

ソーシャル&エコ・マガジン「ソトコト」編集長の指出一正さんから

「『関係人口』のお手本は、多田さんと池谷集落のみなさんにあります!」

と、オビに推薦文を書いていただきました。

 

また、過疎や限界集落等、農村問題の専門家として、政府の各種審議会の

委員等も務めている明治大学の小田切徳美先生に解題を書いていただき、

その中で以下のように書いて頂きました。

「これは、農山村再生という目標から、より高いレベルの都市農村共生構築への

 挑戦である。

 多田氏のこうした実践に導かれ、政策的にも、そして研究的にも新たな目標設定が

 求められているのではないだろうか。

 そうであれば、本書はその幕開けを宣言する革新の書に他ならない。」

 

本書は少子高齢化と過疎化の進む地域で外部との交流人口を増やし、

移住者を呼び込みながら、行政・地域住民・よそ者がそれぞれに連携して

地域おこしを進めていくための参考になるものとして書きました。

第1部は実話編として、私の住む新潟県十日町市の池谷集落が6世帯13名

という廃村寸前の限界集落から11世帯23名にまで盛り返し、

限界集落から脱却していく過程を詳しく掘り下げてご紹介します。

実際の例を住んでいる地域住民の視点から深くご紹介することで、

リアルな農山村の実態をお伝えするとともに、限界集落になぜ外から

移住者が来るようになり、復活していったのかをストーリーとして

知っていただくことできます。

第2部はノウハウ編として、限界集落が再生していく際のポイントを整理しました。

ポイントは抽象化して他の地域でも応用できるようにまとめてみました。

いわゆる全国各地の表面的な成功事例を並べるというものではなく、

池谷での経験を元にして、人と人との関わり方や多くの関係者をどのように

巻き込むのかといったポイントを整理し、どこの地域でも応用ができるように

と考えて書きました。

ポイント整理の部分では、抽象化したポイントの具体例として、

第1部の実話編に出て来たことを対応させてイメージを持ってもらいやすい

形にしました。

これにより、ご自身の地域でもどういうポイントに注意して物事を進めると

よいのかがより考えやすくなればと思います。

ノウハウ編のポイント整理では、地域おこしの分野で多くの地域の現場に

入り込んで研究している明治大学の小田切徳美先生や、震災復興からの

地域おこしの現場で数多くの支援を行ってきた中越防災安全推進機構の

稲垣文彦さんが体系的にまとめた地域おこしにおけるポイントと、

私が都会で経営コンサルタントや組織開発のコーディネーターとして

仕事をしていた時に学んだノウハウを活用したものが盛り込まれています。

※小田切先生、稲垣さんには本書にご寄稿もいただいています。

ですので、私の独りよがりなものではなく、きちんとした研究にも裏打ち

されたものだと言えます。

ぜひ、立場の異なる人がたくさん関わる際に前向きに物事を進めていくために

重要なポイントとして、様々な地域でご活用いただきたいと考えています。

本書を一つの参考として、全国各地の現場で地域おこしの取り組みが

前進していくことを願っています。

 

目次

第1部 実話編 廃村寸前のむらが限界集落から脱却するまで
プロローグ~賑やかだったムラ
第1章 地震で村が変わった
中越大震災前夜
村はもうダメかもしれない
ボランティアってなんだ?
ボランティアが村の雰囲気を変えた
村の宝を探そう
村をなくしたくないんだ
オラたちの米を売ろう

【コラム】東京で働き続けることへの疑問から移住を決断    福嶋美佳

第2章 集落存続に向けてむらが動いた
集会所の改修
むらの計画書をつくる
米の直販の本格化
農業研修生の受け入れ
30年ぶりに盆踊りを復活
私の池谷集落との出会いと地域おこし協力隊の募集
集落の5年後を考える
震災復興支援からの自立
分校で籾山さんの結婚式を
移住女子がやって来た

【コラム】「こんな大人になりたい」と思える人たちがいたから    佐藤可奈子

第3章 集落の灯を絶やさない
集落の人の離農
NPO法人化
被災の経験を活かして
訃報
インターンシップ事業開始
加工品事業に着手
NPO法人として稲作を受け継ぐ
池谷分校大同窓会
集落の3年後を考える会
農業後継者育成住宅「めぶき」の建設
インターン生が「めぶき」に住むように
限界集落から奇跡の集落へ

【コラム】池谷に来るまでのすったもんだのこと    多田美紀

【ロングインタビュー】
「あきらめ」の気持ちをどう乗り越えたか 山本浩史(特非「地域おこし」代表理事)
■むらがなくなる過程をつぶさに見る
■震災復興ではなく、むらの転換点に
■事務局の人材を求めて「地域おこし協力隊」を構想
■入山の田んぼはすべて自分で直した

【聞き書き 池谷の暮らし】
戦後から中越大震災以前の暮らしとなりわい
むらの封建的な空気を変えた若先生 曽根武さん、イミ子さん(屋号「津倉」)の話
中卒後、夏は農業、冬はあちこちへ出稼ぎに 曽根藤一郎さん(屋号「橋場」)の話
養蚕から葉たばこへ 庭野功さん、ヒサさん(屋号「隠居」)の話
冬場の仕事 茅野の工場で寒天づくり 庭野功さん(屋号「隠居」)の話
圃場整備の調整に苦労した 曽根武さん(屋号「津倉」)の話
苦労してお客を開拓したサツマイモの振り売り 曽根藤一郎さん(屋号「橋場」)の話 

【コラム】池谷集落の中核、旧住民の底力  NPO法人棚田ネットワ-ク代表 中島峰広

第2部 ノウハウ編 限界集落再生のポイント 

第1章 イベント単発型でなく、継続的に地域を発展させるには?
「地域おこし」の長期的なイメージを持つ
外部の人でもいいから農地を引き継いでほしいという人が集落の多数派になる
オープンマインドな雰囲気が移住したい気持ちを呼び覚ます
自分が人生を賭けてもよいと思える信念がある
行政とのコミュニケーションを円滑にする方法
守備範囲を決めない
なかなか話が通じない人とのコミュニケーション
地域おこしの発展段階に応じた取り組み方
活動を次世代に継承する観点
50代以下の人たちが地域のために働ける体制づくりが課題
地域での子育て環境

【コラム】震災ボランティアから地域サポート人へ、そして地域サポート人が日本を救う
                (公社)中越防災安全推進機構 業務執行理事 稲垣文彦

第2章 将来ビジョンをつくる際のポイント
目的・将来像・理念の関係
まずは個人のビジョンを考えよう
大勢で集まってワークショップをする場合の留意点
ビジョンづくりワークショップの進行例――3年後の集落の姿を描く

【コラム】池谷集落から希望の種をもらった 長野県栄村小滝集落/合同会社小滝プラス代表社員 樋口正幸

第3章 移住者や地域おこし協力隊員をうまく受け入れるために
移住・定住促進の4ステップ
行政が先行すると空回りする
地域がどれだけオープンになっているか
移住者受け入れの世話役としてのコツ
地域おこし協力隊の課題
行政職員が地域おこし協力隊員に対して感じていること
地域おこし協力隊員が行政職員に対して感じていること
地域おこし協力隊制度をうまく運用するためには

【コラム】池谷の背中を追いかけて 佐賀県有田町 元地域おこし協力隊 佐々木元康

第4章 時代の転換点で今後何を目指すべきか?
地方の将来は暗いのか?
東京オリンピック前後の今が時代の転換期になる?
地方からこそ新しい産業構造が提案できる

[解題]地域再生の実態と理論の最前線-農山村再生から都市農村共生へ-
明治大学農学部教授 小田切徳美

 

是非お近くの書店でお買い求め頂けると嬉しいです!


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